ゲームコラム

放置系ゲームはゲーム界のファストフードであるというお話

【記事公開日】2022/01/18
【最終更新日】2022/03/07

houchi-game

放置系ゲームとは、文字通り「放置(何もしない)」間にゲームが進み、プレイヤーは定期的にそのゲームの「結果」だけを楽しむというゲーム。

ここ最近は多く見られるようになったゲームジャンルの一つだ。

特にスマートフォンゲームには放置系ゲームないし、放置できる要素を含んでいるゲームが多く存在する。

ゲームという実際にプレイして遊ぶことを主としている娯楽に対して、放置という真反対でありながらも、かなりの需要を得ている放置系ゲーム。

なぜ、放置系ゲームがこんなにも人気なのか?

放置系ゲームは今の娯楽飽和時代を象徴している文化の一つだと考えており、その放置系ゲームの存在について考えてみました。

ゲームは遊ぶものという概念を壊した放置系ゲーム

まず最初に、放置系ゲームとしていくつかの例を紹介します。

今回紹介するのは実際に筆者がプレイしたことあるゲームです。

放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜

C4Connectにより運営されているスマートフォン用の放置系ゲームが放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜(以下、放置少女)です。

放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜

「放置系ゲーム」と聞いて真っ先に浮かぶのが放置少女ですね。

放置少女はスマートフォンで展開されているゲームであり、プレイヤーはキャラクターである美女(主に武将などをモチーフにしている)を育成しながら、どんどん強化していくというもの。

公式サイトでも「美少女放置系RPG」を銘打っており、ゲームを放置しながら楽しめることを前面に出しています。

放置少女のゲームシステムを軽く紹介すると、プレイヤーはまずキャラクターでPTを組んで、いわゆるダンジョンに向かわせる。

ダンジョンではPTメンバーが自動で戦闘を行い、戦闘終了後も次のダンジョンへ自動で向かう。

そしてある程度進んだらそのダンジョンのボスを倒して、簡単なストーリーが展開したらまた次のダンジョンへ進む、という形です。

プレイヤーが介入する可能性があるのは以下のポイント。

  • 戦闘シーン
  • 装備の着せ替え
  • 装備の強化
  • キャラクターの強化

まず戦闘シーンだが、基本的に見る必要はない。

それぞれキャラクターにスキルも存在するが、リキャストごとに自動でスキルも発動するため、わざわざ戦闘シーンを見る必要が無い。

しいて言うならば、ボス戦だけは実際にスキルなどをちゃんと使ったほうが勝率が高いかもしれないが、それも別に放置で問題ない。

装備の強化・キャラクターの強化は文字通りで、ダンジョンで拾ったアイテムを使って強化を行う。

この強化を行っている最中もキャラクターは自動で戦闘を続けているので基本的にはノンステップでキャラクターは育っていく。

リネージュ2M

リネージュ2Mは「放置主体」のゲームではなく「放置もできる」MMORPG。

クロニクルIV.神話の顕現|リネージュ2M(Lineage2M)

元々「リネージュ」と呼ばれるシリーズ物のMMORPGの続編という扱いになる。販売はNCSOFT。

MMORPGはクエストを受けてモンスターを倒してまたクエストを受けてを繰り返すゲームだが、リネージュMは「クエストの受注~戦闘」までを自動化できる。

最近のスマートフォンのMMORPGは「自動戦闘」機能がデフォルトが入っていることが多い。

結論、レベリングなどもレベリングしたい場所で自動戦闘をONにして、回復アイテムなどの設定も行えば一切画面を見なくともレベリングを行える。

MMORPGはその性質上、レベリングが非常に大変で、1レベル上げるのに数時間かかることもざらにある。

その面倒な「作業」をリネージュ2Mでは自動化という形で、簡単に「成長した結果」だけを得られる。

筆者としては「レベリング楽ーー!!!」と叫びたくなった一方、レッドストーンなどの大昔のMMORPGで「辻ヒール※」「エンヘイ※」などを貰う交流を楽しんでいた身としては少し味気ないかなという印象。

※簡単に言うと、道中で見知らぬ人から強化魔法を貰うこと。

ただ、レベリングという圧倒的な繰り返し”作業”が無い点は、スマートフォンというそもそもゲームを遊ぶ以外の目的で使うことが多い機械においては非常に便利だなと感じました。

一方で問題もあり、放置ができるということはBOT(機械)での作業が簡単に行えてしまう点もある。

実際、筆者がリネージュ2Mをプレイしていた時も、どうみてもこれBOTだろという集団を何度も見かけてきた。

  • あきあらか機械的に作られた名前で
  • 集団で行動をしており
  • いわゆる「狩りの効率のいい職業」

であれば大体BOTだ。

これらのBOTはアカウント売買やRMT(リアルマネートレード。ゲーム内通貨とリアルの通貨を交換すること)のために作られており、どのMMOでも必ずと言っていいほどBOTは存在する。

スマートフォンゲームの場合、デフォルトの機能として自動戦闘があるため、よりBOTも活動しやすいのだろう。

クッキークリッカー

上記2つはスマートフォンでのゲームだが、クッキークリッカーはパソコンのブラウザでプレイできるゲームだ。

CookieClicker日本語版

ゲーム内容は簡単で、「クッキーを増やすこと」。ただそれだけだ。

プレイヤーは画面に表示されているクッキーをクリックすることで、クッキーを手に入れることができる。

やがてクッキーが増えてくると、様々な「クッキー製造装置」が手に入る。

やがて毎秒数万枚などのクッキーが生まれていき、クリアは……存在しない?

一応、全アチーブメントをゲットするとあとは消化試合になるのでゲームクリアという扱いになるのかもしれない。

噂によると6年以上クッキーを焼き続けている人もいるらしいので、ゲームクリアを目指すのは修羅の道。

「クッキークリッカー」ガチ勢に聞く、ババアと過ごした6年間 「クッキーを焼くのに感情っていらないんです」 – ねとらぼ

なぜ放置系ゲームが人気なのか

放置少女はそれこそ5年以上続いているゲームである。
※ちなみに「グランブルーファンタジー」は8周年。

ソーシャルゲーム売り上げトップ100のゲームの5年後の生存率は12%と言われているため、5年続いている放置少女が多くの需要を得ているのかはわかりやすい。

CMで深田恭子や橋本環奈を採用しており、広報にもかなり力を入れているのが分かる。

なぜ、こんなにも放置系ゲームが人気なのかを考えたとき、娯楽飽和時代が強く影響しているのではないかと思っている。

今の世の中は娯楽にあふれている

今の世の中は、スマホ一つでゲーム・漫画・動画・SNS・配信など世の中のありとあらゆる娯楽を楽しめる。

必然的に、企業側はユーザーの時間を奪い合うことになる。

ゲーム配信を裏で流しながらApexをして、InQの時間には漫画をkindleで読むというような方法で娯楽を楽しんでいる現代において、あまりにも娯楽は多すぎるのだ。

人間が持つ時間は全て一定だ。

どんな人間でも24時間は同じであるため、娯楽に使える時間にも必ず限界がある。

当然、つまらない娯楽には時間を使わない……つまりお金が落ちないことになる。

特にソーシャルゲームは時間泥棒とも言われており、多くの時間(そして金)が落ちるビジネスである。

毎日のように新作のソーシャルゲームが発表されていることもそれを裏付けている。

ソーシャルゲームは当たれば儲かる金山なのだ。

そんなユーザーの時間の奪い合いをしている現代の娯楽業界において、あえて「時間を使わせないこと」に着眼をしたのが今回紹介している放置系ゲームの特徴である。

放置ゲームを開発するメリット

放置少女の運営はC4 Connect株式会社であり、決算情報を見ると2021年の第1期の利益が「2億9,593万5,000円」であるらしい。

ちなみにC4 Connect株式会社は公式サイトを見ると放置少女以外のゲームの運営を行っていないようなので、おそらくこの利益はすべて放置少女からのものだろう。

企業が利益を出すには、単純に言うならば「出ていく金を減らして入ってくる金を増やせ」ばいい。

これはダイエットと同じで、痩せたいならカロリーを減らすか基礎代謝を増やすしかないと同じである。

ここからは予想になるが、恐らく放置ゲームというは管理コストが非常に低いのではないかと思っている。

なぜなら戦闘は自動で行うため、重いグラフィック処理なども必要ない。

特に放置少女などは2Dゲームであるため、イラストもいわゆる「ソシャゲ絵」だけ用意すればいい。

クエストやストーリーもなども作り込む必要はない。なぜならユーザーは自動でゲームを進めるから。

一方で、キャラクターが可愛いかったり、課金で得られるメリットが大きいのであればユーザーは課金をするだろう。

実際に2億近い売り上げを上げているため、課金も頻繁に行われていることが予想できる。

放置系ゲームは現代のファストフードである

マクドナルドやケンタッキーなど、ファストフードは高い需要を持ち続けている。

昼時にマクドナルドに行列が~という姿は誰もが見たことがあるだろう。

ファストフードの良い点は、すぐに料理が出てくることにある。

時間をかけずに結果を得られる、という点においてファストフードと放置系ゲームは関係するものがある。

別に、筆者は放置ゲームが悪である!ゲームはプレイするもの!と叫ぶつもりもない。

※というか逆に放置機能の実装は逆に推奨する側である。

しっかりとゲームをゲームとして楽しみたいのであれば、そのタイプのゲームをプレイすればいい。

逆に、ゲームに時間をかけたくない。強くなる結果だけを楽しみたい人にとって、放置ゲームは無くなっては困るゲームジャンルだろう。

時間という有限の資源を使わずに、ゲームを楽しめるという新たな楽しみ方を開発した「放置系ゲーム」は個人的には「考えた人頭いいな!」と賞賛を送りたい。

個人的にはソーシャルゲームに「ガチャ」の概念を導入した時と同じような感想を放置系ゲームに感じている。

今後は放置系ゲームがどうなるのか

筆者はeスポーツの世界に身を置いている人間なため、ゲームといえば「戦うもの」というイメージが強い。

しかし、リネージュ2MにはPvPが存在しており、一概に「放置系ゲーム=対人ではない」という考えは、間違っているだろう。

もしかしたら将来的に、放置だけでキャラが育っていき、それを対戦させるeスポーツ競技が生まれるのかもしれないが・・・そこに感動は生まれるのか?という気持ちもある。

いずれにしろ、いまの娯楽飽和時代において放置系ゲームというジャンルは目を離せないジャンルなのは間違いないだろう。

Have Fun編集部

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